2015年7月18日土曜日

さすらいの木


木の中には、たくさん芽生えても途中であっけなく枯れてしまって、
「何を考えているのだろう?」
と、いぶかしく思う木があります。
クサギもその一つです。
もともと、入口に近い斜面に生えていたのですが、その木は枯れ、その周りには苗が生えては枯れ、枯れては生えています。
そして、石垣の上、通路との境にユキノシタを植えていた中にこぼれた種が、今は一番大きく育っています。


邪魔と言えば邪魔、コナラやクヌギだとすぐ抜き捨ててしまうところですが、いつ枯れるか不安定なクサギなので、特別に許していたら、わりと大きくなりました。


しかし、もっと端に生えているクサギたちは、いま引き抜くか、いずれ切らなくてはと思っています。


石垣の足元にはもっと小さいのもあるし。
こんなに、込みあったところではなく、広々としたところに生えてもらいたいものですが、こちらの思うようにはいきません。


いま、蕾です。
クサギは名の通り、葉をちぎったり枝を折ったりすると臭いのですが、蕾よし、花よし、実よしです。


実は染料になるので、集めている人がいます。
「えっ、染料にするほど集まる?」
「ちょっとずつしか集まらないから、冷凍しているのよ。でね、クサギがあったら、知らない家でもお願いして実をもらうの」
クサギは気まぐれな木です。 昔、クサギの実で布を染めた人はどうやって集めたのでしょう、不思議です。

もっとも、両親たちと住んでいた社宅の庭の隅には、都心にもかかわらず、勝手に生えた立派なクサギがあり、実もたわわになって、いつも母が愛でていました。
案外、コンクリートジャングルのようなところが好きなのでしょうか。





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