2010年9月16日木曜日

タイのサラカヤシ



半月の入院生活を送り、やっとのことで退院してきました。

イ ンドネシア、ジャワ島のソロの芸術大学で、さらにバティクを学ぶために留学するS先生を送る昼食会には、私は出席できませんでしたが、送別会に集まったS 先生、MさんとNさんが、その足で病院に寄ってくれました。退院間近だったこともあり、ちょっと賑やかなひとときを過ごしましたが、そのとき、S先生がタ イ物産展で見つけたという、サラカヤシの実をいただきました。

丸っこいジャワのサラカヤシ  (ジャワではサラックと言うそうです)と違って、タイのサラカは、薄べったくて、ちょっと奇妙な形をしています。タイ(少なくても中部以北)では、以前は サラカはあまり見かけませんでしたが、今年の初めにタイに行ったときは、バンコクのデパートの果物売り場に並んでいました。




サラカヤシの実は、うろこのような、硬い乾いた外皮が果肉を被っています。




皮をむいてみると、果肉は小さいもので一つ、大きいものには二つから三つ入っていました。




左は小さい実の果肉、そして右は一番大きかった実の果肉です。
匂いはわりときついのですが、味はちょっと酸っぱくて、甘くて美味です。




これまで、比べたこともなかったのですが、タイのサラカヤシの種は、ジャワのサラカヤシの種(右上)と全然違いました。ジャワのサラカの種が、つや消しで黒っぽいのに比べて、タイのサラカの種は、表面のでこぼこが大きく、ちょっと透明感があって、艶があります。

サラカヤシについては、あまりはっきりしたことはわかっていません。
Zalacca edulis(Zalaccaはモルッカ諸島の現地名で、edulisは食用に供されるものという意味)の他に、Zalacca blumeanaなど、十数種類の原種があるようですが、もしかしたら、栽培種もできているのかもしれません。なにせ、日本にも輸出されているくらいですから。
それにしても、種の違いにはびっくりでした。普通、竜眼でも、ランブータンでも、同種の実の大小、種の大小、実の姿形の差異はあっても、種の形はよく似ていますから。




ジャワのサラカヤシの種です。
一つの実にだいたい三つの果肉片が入っていますが、種の横断面は、二面がほぼ平面で、その平面と平面の角度が120度くらいになっています。つまり、三つ合わせると円になる形です。
どれもみごとに同じような形で、球面と平面の間には、浅い溝が走っています。

ジャワのサラカの種は、二つ植えてみましたが、発芽しませんでした。バティクを一緒に習っているMさんも植えてみたけれど、芽が出なかったそうです。
もともと湿地に自生するヤシですから、十分水遣りしたつもりでも、水分が足りなかったのかもしれません。




タイのサラカの種です。
一番上の写真のうち、右の小さめのサラカ三つには、卵型の果肉が一つずつ入っていて、種の横断面はまん丸でした。




左二つの、大きめの実に複数で入っていた果肉には、横断面が円ではなくて、かまぼこ型の種が入っていました。
二つの果肉片が入っていた実には二つの種が入っていて、三つ果肉片が入っていた実の、一つの果肉は種無しでしたから、最初から種は二つだけ用意されているのでしょうか?
もっとも、このかまぼこ型の種を二つあわせても、横断面は、ジャワのサラカのような円にはなりません。




もっと平べったい種もありました。

タイのサラカヤシの種は発芽しやすいということです。
でも、まだギブスをはめていて、松葉杖をついている身で、大工仕事はおろか、草刈りも、稲刈りさえもできないのですから、今回は種まきはやめておくつもりです。

入院生活



10 件のコメント:

Shige さんのコメント...

無事おかえりなさ~ぃ!
もう、具合は良いのですか?
リハビリはやって見えたのでしょうね。まだしばらくは気をつけて、養生してくださいね。

さんのコメント...

Shigeさん
ありがとうございます。
まだギブスつきですから、リハビリはギブスが取れてからでしょうね。
ぼつぼつ復帰です。

渚の探偵:助手 さんのコメント...

ご退院、おめでとうございます! \(^0^)/
ご自宅に帰られて、ホッとされていることと思います。
まだギブスをされているのですね。
入院中に溜った家のことを、あれもしなきゃ!これもしなきゃ!と色々と思われているかもしれませんが、あまり無理をせず“ぼちぼち”やって下さいね~(^^)

セキネ さんのコメント...

退院おめでとうございます!

私も先日タイのサラカヤシを食べながら
「こんな種だったっけ?」と思っていたのですが
比べてみるとこんなに違っていたのですねぇ。
種だけ見たら,同じ果実とはおもえませんね〜。
驚きました!!

さんのコメント...

渚の探偵:助手さん
そうなんです。でも、以外とちゃんとしていましたよ♪
けっこうギブス生活にも慣れてきましたが、昨日は洗面所のマットで滑りそうになりましたから、やっぱりおとなしく、お世話になるつもりです。

さんのコメント...

セキネさん
ありがとうございます。
サラカヤシの種はずいぶん違っていて、びっくりしました。
ココヤシ、サゴヤシ、ナツメヤシなんか研究が進んでいますが、サラカヤシは16種類あるみたいとか、24種類あるみたいとか、よくわかってないみたいです。生活の必需品ではないし、商業的にもどうこうするものでもないからでしょうかね?

Tomoki さんのコメント...

 タイでは、「サラック」と「ラカム」の名で2種類の写真のようなヤシの実が売られています。「サラック」のほうが丸みを帯び、味も良いと言われています。しかし、いずれも赤茶色で、表面に棘(鱗片が反り返ったもの)があります。

 僕もインドネシアやシンガポールでサラカヤシの実を見たことがあり、タイのものより黒っぽく、しかも表面にとげがありませんでした。

 食べて種の形なんかを比べましたが、春さんと同じく、どうみても別物です。
 
 それを考えると、タイのものは、ラカムもサラックのいずれもSalacca wallichiana、そしてインドネシアやシンガポールで見たものがSalacca zalacca (syn. S. rumphii)だと思います。

さんのコメント...

Tomokiさん
もしかして、ナコンラーチャシマーの方でも、サラック売っているんですか?
昔はヴェトナムでしか売ってないドラゴンフルーツはタイばかりか、日本でも売られています。どんどん地球が狭くなっていますね。
先日テレビで、「オクラは英語です」「日本語かとばっかり思っていた」「オクラはアフリカ原産です」「へぇー」なんてやっていて、苦笑しました。
私はオクラを初めて見たのは、アフリカだったものですから(笑)。

Tomoki さんのコメント...

ナコンラチャシマでも売っていますが、あまりポピュラーではないですね。
カオヤイを越えたプラチンブリ・ナコンナヨクでは、果物市場でこれが幅をきかせています。

さんのコメント...

Tomokiさん
どんどん、世の中が変わっていますね。