2010年6月6日日曜日

やっかいな万葉植物



これから、初秋まで、ちょっと油断していると、いろいろな草が生えてきてぐんぐん伸び、あちこち、足も踏み入れられない状態になってしまいます。
その中には、古来から人々の近くに生えて、親しまれたり、疎まれたりしてきた植物も、いろいろあります。

その一つのアカネは、根が赤色の染料として使われてきました。茜色の語源にもなっています。
可愛げのない植物で、抜こうとすればぶつぶつ切れて根絶できません。びっしり生えている細かいトゲが、手を刺します。
毎年、同じ場所から、忘れずに生えてきます。生垣の近くが好きで、うっかりしているとすぐ、ツツジなどを被ってしまいます。
アカネそのものを詠んだ詩ではありませんが、一首、

あかねさす 紫野行き標野行き 野守は見ずや 君が袖振る (万葉集)




葛は、秋の七草の一つです。
そのタフなこと、どこまでも蔓を伸ばし、何も支えがないところでは、この写真のように自分の蔓を何本か巻きつけて立ち上がり、空に伸びて、木の枝などに取りついていきます。

我が家のまわりの、雑木を被っていた葛は、大方取り除きましたが、それでも油断するとすぐに盛り返してきます。表面的には、長い間芽を出さないところでも生き延びていて、掘ると、生きた根がずいぶん出てきます。

葛の 絶えぬ使のよどめれば 事しもあるごと 思ひつるかも (万葉集)




万葉の頃、ヤエムグラと呼ばれいていたのは、現在のカナムグラだと言われています。
カナムグラは、ヤブカラシやスギナのように、根がぶつぶつと切れたりせず、抜きさえすれば根絶できる植物です。とはいえ、成長が早く、すぐ花が咲いてしまいます。
うっかり見落とした株に、花が咲いたら、もうおしまいです。次の春には、あたり一面から、数え切れないほどの芽が出てきて、そこらじゅう、カナムグラだらけになってしまいます。

ちなみに、春先に旺盛だった(現在の)ヤエムグラは、もう姿を消したようです。

(問)思ふ人 来むと知りせば 八重葎 おほえる庭に 珠敷かましを (万葉集)

(答)玉敷ける 家も何せむ 八重葎 おほえる小屋も 妹とし居らば (万葉集)


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