2009年10月14日水曜日

パルメラヤシ


飛行機がプノンペンの空港に近づくと、農村には、田んぼのあぜや屋敷の敷地内にヤシの木が林立しているのが見えます。
それがパルメラヤシ(オウギヤシBorassus flabellifer)です。一戸あたりの田んぼ面積の小さいプノンペン近郊の村人にとって、乾季に砂糖を採るパルメラヤシは大切な収入源です。
ヤシ砂糖を採る農民は、10本とか20本とかのヤシを持っていて、それぞれのヤシには、竹の節を残した簡単なはしごが結び付けてあります。それを登って花房をやんわりともみ、先を切って、一定期間竹筒をつるしておいて樹液を集め、それを煮詰めて砂糖をつくります。
危険を伴うし、煮詰めるにはたくさんの薪がいる、たいへんな作業ですが、煮物やお菓子づくりにはヤシ砂糖は欠かせず、よい値で取引されているので、たくさんの人が従事しています。

パルメラヤシはココヤシ同様、何から何まで利用できます。葉は屋根や籠、ござなどをつくるのに利用され、葉柄を割いたものは、稲苗を結ぶ紐、ロープ材料に利用され、役目を終えた古い木は、建築材料や工芸材料にされています。

実は、食べられますが、まあ買って食べるほどの味ではなくて、子どものおやつ程度でしょうか。
1981年、まだ半鎖国状態のビルマに行った時には、このパルメラヤシの内果皮をくりぬき、鳥の彫刻をした蓋をつけた漆塗りの入れ物を見ましたし、バンコクの週末市場でも内果皮を利用して、身と蓋をつくった容器を見つけました。とても素敵です。
そこで、私もなにかつくろうと、村でパルメラヤシの実を拾いました。ココヤシほど厚くはない外皮に挑戦すること数週間、毎日磨いてもなかなかすべすべになりません。そして、つるつるになる前にギブアップした実が、いまでも手元に残っています。


いつでもそうですが、なにかやってみると思うようにはいかなくて、先人をただただ尊敬してしまいます。

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